2007~2008年に別冊文藝春秋に掲載され、2008年に単行本化された原田マハさんの作品です。2018年には舞台化、2021年には映画が公開されています。
奇跡が奇跡を呼ぶ、感動のお話。必ず泣けて、すっきりとします。
あらすじ
主人公はアラフォーの円山歩。わけあって大手都市開発企業のシネコンに携わる部署の課長職を辞職。同日にギャンブルと映画好きの父が心筋梗塞で手術。入院している父の代わりにマンションの管理人をすることになる。その後も、父のギャンブル依存症が判明したり、父が家出をしたり。
振り回される歩だけれど、父が映画雑誌のブログに歩のメモ書きを投稿したことで映画雑誌出版社のライターとして就職することが決定。流れで掲載することとなった父(ゴウ)の文章が英語版で発信され、父に見ず知らずの外国の親友が出来るというお話。
感想
マハさん十八番のテンポよい物語の展開が心地よい。感動するだけではなく、歩の父親に対する感情の変化や、以前は気にしてもいなかった小さな劇場への想いなど、共感できる部分が多かった。最後には残念なこともあったけれど大団円。本当にキネマの神様はいるんだ、と思えました。
しかし、80歳近くの老人が果たしてネットカフェでブログにコメントを投稿できるのだろうか。2時間ほど娘に教わっただけで。。よほど冴えた頭でないと難しいと思われます。まぁ、その歳で何日も家出が出来るくらいだから、あり得るのかもね。(苦笑)
シネコンと名画座
まだ独身だった頃、会社帰りによくミニシアターへレイトショーを見に行きました。名画とまではいかないけれど、バグダッド・カフェなどのリバイバルの映画をやっていて結構楽しかった。結婚してからは映画館に足を運ぶことが少なくなり、家で見ることが多くなりました。子供が生まれたことも理由の一つだけれど。
でも、シネコンが出来、子供も大きくなって行く機会が増えても、この本を読むまで小さな映画館のことを気に留めることはありませんでした。
シネコンと名画座。巨大ショッピングモールと小さな商店街と同じ問題のようで少し違う。観る場所によって印象が変わる映画。記憶に残るのは、家で見たバグダッドカフェではなく、映画館の大きなスクリーンで観たバグダッドカフェなのです。
特等席
読了後、頭に残ったイメージは2つ。管理人室と映画館。
多分、一番登場回数が多いと思われる管理人室もよかったのだけれど、やっぱり最後に感動した映画館のゴウちゃん用特等席をミニチュアで具現化することにしました。
たくさんの椅子を作ろうかと思ったけれど、やはり特別感を出すため1つだけ。
一応、折りたためるように作りました。
ラストのシーン、【キネマの神様感謝祭】で映画のタイトルの前にテラシンが挿入したテロップ。涙をそそります。自分も同じ椅子に座っている感覚になりました。
カプセルトイ
椅子の画像を検索していたら、【映画館の椅子】というカプセルトイを発見!!
2014年10月にエポック社が販売したとのことですが、実物を見てみたかった~。(今でも販売はされていますが、高額です。。。)https://epoch.jp/rc/capsule/2014/main/m10/img06.html
映画
映画は見ていないけれど、あらすじを読む限り、小説版とは違う物語のようです。出来れば原作に沿ったバージョンも見てみたいな。
最後に。。。
志村けんさんのゴウちゃん、見たかったです。
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