相続登記。素人でもできました。

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相続登記の費用・登録免許税が高い。

夏の終わりに父が亡くなりました。色々な手続きが多い中、実家の土地建物の相続もしなくちゃいけないのでは?と気が付き調べてみると、司法書士に頼むと10万以上することが判明(内容による)。主な内容はこちら↓

  • 登録免許税:その年の不動産評価額(土地+建物)の0.4%(例えば1000万であれば4万円)
  • 必要な証明書等の取得費用
  • 司法書士や弁護士への報酬:登記の内容によるが5~10万以上

最初は、年金や銀行口座、世帯主変更の届け出などやることがあまりにも多すぎて時間がないので専門の方に頼もうと思っていたのだけれど、やっぱり金額が高すぎる。。これから何があるかわからないし、一念発起して自分で手続きすることにしました。

幸い、我が家の場合、相続人が少なく、揉めるような遺産があるわけじゃない。また、父も生まれてから今までずっと同じ管内にいたので、戸籍謄本などを取りやすい。私は高速を使っても車で2時間のところに住んでいて実家の市役所に行くには時間がかかるけれど、私が頑張れば登記できるんじゃない?と考えたのです。

しかも、住宅ローンは完済していて抵当権の抹消済み。これはやるしかないでしょう。

残念な行政機関

葬儀終了後、市役所で色々な手続きをした時は、とても親切な対応でスムーズに事が進みました。いい人が多くてありがたかった。

そのイメージで、必要なものとか登記の流れを聞こうと管轄の法務局に電話。しかし「本当に個人でやるのか」「○○やって、△△の書類取って、協議書とか提出書類作ったり大変ですよ」「専門の司法書士に頼んだ方がいいよ」「普通は専門の人に頼みますよ」などと言って詳しく教えてくれない。。

今は窓口での相談はやっていないけれど電話相談はしているとのことだったので電話したんだけどな。全然親身になってくれず、落胆しました。

頼れる指南書

仕方がないので、まず指南書を探すことにしました。ネットで調べてみたけれど、結構たくさんあって何を選べばよいのかわからない。。。でも、古いものよりも最新版の方がいいよなと思い、新元号対応と書かれたものを選択しました。

選んだのはこちら。

こちらを読んで、知識ゼロでも自分で相続登記が出来ました。でも、状況によって専門家に頼んだ方がよい人もいるとのこと。この本では、自分で相続登記が出来るのか診断出来ます。

我が家の場合、遺産は持ち家と預貯金、相続人3名、相続税はかからない、遺言書はないなど、シンプルだったのですぐにチャレンジを決めました。

相続登記の流れ

  1. 家の権利証を探す。
  2. 登記事項証明書を取得する。(申請書に一字一句、正しく記載する必要があるため)
  3. 不動産を相続する人を決める。
  4. 相続人全員の印鑑登録証明書を取得する。
  5. 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と戸籍の不評を取得する。
  6. 相続人全員の戸籍謄本を取得する。
  7. 実際に不動産を相続する相続人の住民票を取得する。(マイナンバーの記載のないもの)
  8. 固定資産評価証明書を取得する。
  9. 遺産分割協議書を作成する。
  10. 相続関係説明図を作成する。
  11. 登記申請書を作成する。
  12. これまで取得・作成した書類のコピーを取る。
  13. 申請書を1つにまとめる。
  14. 登記申請書を法務局に提出する。
  15. 登記完了後、法務局で書類を受け取る。(この時、登記事項証明書を取得して確認すると安心)

相続登記の第一歩

まず、3のどのように相続をするかを話合いました。これは、すぐに全て母が相続することに決まりました。しかし、全てを母が相続するとなると、相続人による遺産協議が必要とのこと。

遺産協議なしで相続する場合、法定相続通りの相続になります。つまり今回は、母(妻)と私(子)と妹(子)の3人でそれぞれ1/2、1/4、1/4ずつ分配することになります。でも、不動産は分けることが出来ません。不動産を共有名義にも出来るけれど、より複雑になってしまうので1人で相続した方が無難。そうなると、法定の分配とは違うので遺産協議が必要になるわけです。

今回は、実家から遠いので出来る限り行く回数を減らそうと遺産協議書などを事前に作り、母と妹に署名捺印してもらうだけにしました。

が!書類を持って法務局に行ったところ、代理人が必要とのこと。相続人である私が申請しても、実際に相続する母が手続きを取らなければ、私を代理人とする委任状が必要だというのです。。早々に提出する野望は打ち砕かれ、2週間後にまた提出することになりました。(この点については指南書に記載なし)

家の権利証の保管場所

相続登記の流れを見ると、ほとんどが証明書など書類の取得です。私の場合は、妹が私より実家に近い場所に住んでいたので証明書の取得をお願いしました。(銀行の解約に必要な書類もあるため、一気に取得。大変だったようです)

でも一番大変だったのが家の権利証。どこにあるかわからない。

母は全く関知していなかったのでわからず。いろんなところを見たのだけれど、私が行った時には探せず。。結局、後日妹が行った時に発見して写真を送ってもらいました。ちなみに、権利証があれば上記の2の登記事項証明書がなくても申請書を作成できます。

昔の権利証は手書きが多いので文字がわかりにくいですが、私は登記事項証明書を取る時間がなかったので権利証を見て作成しました。

出来れば、両親が健在の時にさりげなく権利証の場所を聞いておくことをおすすめします。

書類の作成

この相続登記のしかたがよくわかる本は、必要な書類の作成方法について丁寧に書かれています。

登記申請書は法務局のHPにあり、一応ダウンロードもしましたがあまり親切な説明ではなかったので私はこの本を見て自分で作成しました(その方が早かった)。

相続関係説明図や遺産分割協議書も参考にして自分で作成しましたが、登録免許税納付用台紙と代理人の委任状は、最初に法務局に行った際に入手して使用しました。

書類完成後に誤字発覚!!

書類がようやくそろったので、通して確認していた時、誤字を見つけてしまった。。しかも、登記申請書に。それは、不動産の構造の欄。

 誤 木造亜鉛メッキ鋼板葺平

 正 木造亜鉛メッキ鋼板葺平

すぐに作り直しました。。。【平家】と【平屋】。仕事で建築に携わっていたけれど、深く考えたことはなかったかも(汗)

提出する時じゃなくてよかった。。。もちろん、印鑑を持って行けば訂正は出来るけれど、きれいな状態で提出したいですよね。

書類のとじ方

この相続登記のしかたがよくわかる本には、とてもわかりやすく必要書類について書かれています。でも、少し悩んだ箇所もあったのでここでご紹介します。

悩んだ点は書類のとじ方。

提出書類の原本を返して欲しかったので、コピーをしました。指南書のP252・253に図入りで説明がありますが、理解しにくかった・・・。何とか理解して、その順番通りにとじて作成しました。

①登記申請書のとじ方

  1. 登記申請書
  2. 登録免許税納付用台紙
  3. 相続関係説明図
  4. 遺産分割協議書のコピー
  5. 相続人全員の印鑑登録証明書のコピー
  6. 亡くなった人(父)の住民票除票のコピー
  7. 不動産相続人(母)の住民票のコピー
  8. 固定資産評価証明書のコピー
  9. 代理人(私・提出者)の委任状

上記の4~8までをまずホチキスでとじて、その後、1 + 2 + 3 + 【4~8】 + 9の順番でまとめてホチキスでとじる。(ここがいまいちわからなかった)

4~8の束は、登記申請書で使用した印鑑を使って各ページの継ぎ目に契印すること。最初のページの下部に「上記は原本に相違ありません」と記載し署名捺印すること。

②各証明書の原本のとじ方

  1. 遺産分割協議書の原本
  2. 相続人全員の印鑑登録証明書の原本
  3. 亡くなった人(父)の住民票除票の原本
  4. 被相続人(父)の出生から死亡までの戸籍謄本一式の原本
  5. 相続人全員の戸籍謄本の原本
  6. 不動産相続人(母)の住民票の原本
  7. 固定資産評価証明書の原本

上記をまとめてホチキスでとじる。

最終のまとめ方

上記の【①登記申請書】と【②各証明書原本】を大きいクリップで挟んで提出します。

一緒に登記識別情報受領届出書も提出します。

提出後

本には提出後1週間から10日と書かれていたけれど、実際は提出した2日後に問題なければ完了するとのことでした。問題があれば、私に連絡が来るとのこと。2日間はあまり落ち着かなかったけれど(訂正があればまた再度出向かなければならない)無事に審査が通り完了しました。

3カ月以内であればいつ取りに行ってもよいとのことだったので、日を改めて取りに行くことに。その際、提出した時にもらった受け取り票(受付番号、登記完了予定日などが書かれている)、その票に押した印鑑を持って行きます。

登記完了証を受け取ったら、念のため登記事項証明書を取って、内容を確認。ちゃんと変更されていました!!無事に受領されていて本当に安心しました。

この時、従来の権利証から代わった【登記識別情報通知】ももらってきました。これは次回、登記をする際に必ず必要になる大切なものです。折込式になっている下の部分は剥がさずに大切に保管しましょう。

これで、相続登記は完成です。

まとめ

私が登記完了までにかかった期間は1か月半ほど。実家の近くに住んでいれば、もう少し早く完了出来たと思います。

しかし、これはあくまでも父が生涯、同一管区内に住んでいたから。もし、色々なところを転々としていたら、出生から死亡時までの戸籍謄本を集めるのにかなりの時間を要していたはず。また、相続人が離れた場所にいるなど、すぐに話し合いが出来ない場合も然り。

身内の死亡時は、他にもやらなければならないことがたくさんあります。無理をして自分でしようとせず、状況に応じて自分で相続登記が出来るか判断されるとよいでしょう。

注意点

  • 相続人であっても、不動産を相続する人以外が申請する時は、委任状が必要
  • 遺産分割協議書は印鑑登録されている印鑑、登記申請書は別の印鑑でOK
  • 登記申請書で使用した印鑑を使って、登記申請書と登録免許税納付用台紙に契印する

書類作成時には上記について注意してください。

また、今回は住宅ローンが完済していて、抵当権抹消登記も済んでいましたが、抵当権が抹消していない場合はその手続きから始めなくてはいけません。

それらについても相続登記のしかたがよくわかる本に丁寧に書かれています。参考にしてみてください。

今後は10万円の過料も

2024年からは、死後3年以内に不動産の相続登記をしないと罰金を科せられることになるそうです。

面倒な手続きなので後回しになりがちですが、早いうちから対応しておくとよいですよ。

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