2017年に発売された、伊坂幸太郎さんの短編小説『ロングレンジ』。電子書籍で、待ち時間などで読み切れる長さなので、気軽にさくっと読めます。
現代の家庭内で起こりがちな問題も、伊坂さんの手に掛かると明るい未来が見えて来る。ハードボイルドな内容ではなく、読み終わった後に前向きな気持ちになれる本です。
印象に残ったお蕎麦屋さん
物語の登場人物は、父と母、夫が単身赴任中の姉、引きこもりの弟の4人。姉が久しぶりに帰省したところから物語は始まります。
伊坂幸太郎さんらしい偶然がちりばめられていて、短いながら楽しめました。その中で印象的だったお蕎麦屋さんをミニチュアで作ってみました。
製作する上での設定
このお蕎麦屋さん。物語の中盤、ターニングポイントの一つとなる場所です。
ビルの1階にある3軒の店舗。蕎麦屋と喫茶店とハンバーガーショップ。
ビルの向かいにある事務所ビルを観察するのに主人公がお店を選ぶのだけれど、喫茶店に喫煙者がいたことと、『蕎麦湯に自信あり』と手書きされた貼り紙からお蕎麦屋さんを選ぶことになります。
まず、ビルの1階に3軒のお店が入っていることで、間口が狭く細長いお店と想定。3軒の順番はあまりイメージが湧かなかったけれど、物語の中心になる場所ということで蕎麦屋さんを中央に配置して作りました。
店内はというと、間口の狭いお店の席から向かいのビル入り口が見えなくてはいけないので、必然的に入り口横は客席に隣接したガラス窓になる。
本当は、ガラスに面したカウンター席にしたいところでしたが、物語の中に『向かい側に腰を下ろした』とあるので、対面出来るテーブルを設置しました。
文章内に『ドアを横に開くと』とあるので引き戸とわかりますが、スペースが難しい。このミニチュアの世界では、外側のガラス面と内側のガラス面の内部に引き戸が収まる設定になっています。
テーブル上にメニューはあえて置かず、蕎麦屋さんによくあるボックス型の箸入れを置きました。注文した商品はまだ届いていません。ガラス面が広いので、向かい側のビルの様子もよく見えることでしょう。
家族の絆
それにしても家族というものは不思議です。特に話し合ったわけではないのに、偶然同じところで出くわすことがある。買い物の帰りに雨が降って来て、途方に暮れていたら旦那の車が通り掛かった。とか、私もそんな体験をしたことがありますが、このお蕎麦屋さんではそれに似た出来事が起こります。
それほど強い絆ではないけれど、ふとした偶然から家族を改めて認識出来るお話。
自慢の蕎麦湯、飲んでみたいです。
興味が湧いた方は読んでみてくださいね♪
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