ナギの帰る場所・・・さいはての彼女(風を止めないで)/原田マハ

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2008年に発行された原田マハさんの作品。この本は4つの短編から成っていて、1~3話目はバリバリ働く女性が主人公。

少し心が折れたりこれからの生き方を考えたりする中、旅に出て前に進む答えを見つけるストーリー。何の知識もなく読み始めたけれど、終始風を感じることが出来ました。

心に残ったナギという女の子

ナギのお話は1話目と4話目。ハーレーダビッドソンに乗る女の子(23歳だから女性といった方がよいかな?)の旅にまつわるお話。

しかし、ハーレーダビッドソンの名前は知っているし遠目に見たこともあるけれど、全然詳しくない・・・。読了後、一番心に残ったけれど、ハーレーのミニチュアは作れない。かといって、壮大な大自然を作ることは出来ない。。。

悩んだ結果、2話目のハグとナガラのお話に出て来た紅葉が素晴らしい宿を作ろうかとも思ったけれど、どうしてもナギに関するものが作りたくて、ナギの実家の外観を作ることにしました。もちろんバイクは不在のままで。

実家再現の過程。

今回、イメージを具現化するにあたって一番時間が掛かったこと。それはこの家の間取り。

建物の外観を作る時、私は最初に平面図を考えます。それじゃないと建物は作れない。。

物語を読み進めると、寝室の真下にはガレージがあって、キッチンと応接間と客間と仏間、それぞれが独立した部屋になっている間取りだとわかりました。仏間は廊下の突き当りにあって・・・と書かれているけれど、なかなかうまい具合にまとまらない。まるでパズルみたい(苦笑)

かなりラフで少しお恥ずかしいですが、こんな感じにまとまりました。こじんまりした家とあるので、2階の面積は小さく。

次に外観。『伸び盛る庭木に向かってぼんやりと散水』とあるので、庭があることがわかります。また、桐生さんが帰る時、ハーレーを指さしているのでガレージにシャッターがないことがわかります。

今回のスケールは1/200。木材を使うと分厚くなってしまうので、厚紙を使用しました。

まずは芝づくり。

土台は100均の滑り止め。マットを作るように棒針を使用してループを作っていきます。その後、ループの先をカットして、色々な色の毛糸をちりばめて、短く刈り揃えて芝の完成。

建物

次に建物。屋根の水切りも、木で下地を作りシルバー色で塗装した厚紙で作りました。一応無落雪屋根を想定して、雨どいも付けています。

そのほか、敷地の柵、ガレージに続く石畳、庭木など、色々作成して設置。

文中では市街地と書かれていますが、なぜか私の頭の中では少し山の中。家の裏もちょっとした山肌が見えるような場所のイメージでした。

ナギの人物像

実際にナギが主人公のお話はないけれど、1話目の主人公の涼香やログハウスのおやじさん、寿司屋の板さん、ポンズハウスの人達の会話で皆から愛される人物だとわかる。明るくて、いるだけで気持ちのよいそよ風が吹くようなイメージ。天気のよい日の庭のイメージそのもの。

4話目はナギのお母さんが主人公。年に3度も一人でツーリングに出かけるナギ。お母さんの心配な気持ちもよくわかります。私も何年かして子供が就職したら、同じような心配事が増えるんだろうな。さわやかな風が吹く中、心配と期待が入り混じる複雑な気持ちでぼんやりと散水するお母さんの気持ちと同調してしまいました。

原田マハさんの作品、初めて読んだけれど風景描写がとても上手です。読んでいるだけでイメージが次々と湧いて来て気持ちがよかった。

巨大な夕日が水面に向かって落ちていく様や、宿の部屋に入った瞬間の窓から見える絵画のような紅葉の風景、雪がしんしんと積もる釧路湿原の様子など、実際にその場にいるような錯覚に陥りました。

ナギの実家の庭も、読んでいて自分で散水しているんじゃないかと思ったほど。

私の作品も、見ていて少しでも風を感じられるミニチュアになっていると嬉しいです。

おまけ~北海道旅行を計画する際に~

ちなみに、1話目は網走や知床、羅臼など道東の旅、3話目は冬の釧路の旅のお話。どちらも北海道のお話なので、とても親近感が湧きました。しかし、道民だけれど道東には3回しか行ったことがありません(笑)

文中、主人公が女満別空港に降り立った後「1時間後に洞爺でランチしてやる」と言った場面で「そうそう、北海道内だから気軽に行けると思っている人が多いけど、日帰りは厳しいから~」と頷いてしまった。本当に新千歳から道東方面に1時間ほどで行けると思っている人が多いのです。

北海道旅行を計画する際は、移動距離と掛かる時間を改めて確認してみてくださいませ。弾丸ツアーではなく、広い大地なので心も広く穏やかな旅行にして欲しいです★

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