2015年に刊行された原田マハさんの作品。
ラブ・コメと書かれていたので最初は少し躊躇ったけれど、本の帯に書かれた【ラスト50ページから、せつなさの魔法が炸裂する。】の言葉が響いて手に取りました。
ほんとにラスト50ページから涙が止まらない。帯通り、笑って泣ける最強ラブ・コメをミニチュアで再現してみました。
あらすじ
主人公の美智乃輔は、美大生。父が政治家で暮らしぶりはあまり庶民派ではないけれど、同級生の高瀬君への恋心を秘めている乙女な男子なので、親しみが湧いて来ます。卒業間近でパリへ留学することになり、その留学先でのお話です。
パリのカフェでバイト中に著名な作家さんと出会います。しかも、美智乃輔が大好きな小説の作家さん。その出会いからリトグラフ工房でリトグラフを制作することになったり、就職した高瀬君が日本で開催されるフランスアート展の打ち合わせでパリに来たり、謎の男に追われたりと早い展開で物語が進みます。
原田マハさんは、描写がとても鮮明で上手。すぐに頭の中に情景が描かれます。今回も読んでいて色々な光景が目に浮かんで来ました。この作品は、サスペンス風な場面やアクションシーン、ラブコメ要素もあり、楽しめました。近いうちに映像化されるかもしれません。
特に昭和生まれの人は楽しめるかも。マハさんも注意書きされていますが、所々で昭和的な発言があります。高橋名人の名前も出て来ちゃって、いったい何のお話?ってな具合(笑)。
読了後の残像
印象に残ったシーンは数多くあったけれど、最後に思い浮かんで来たのは、美智乃輔がバイトをしていたカフェ、ラ・ブーム。ここでバイトをしていなければ、この物語は始まらなかったという重要なお店です。
このお店でのハルさんとの出会いから、リトグラフ工房に足を運ぶこととなり、美智乃輔は自分の居場所、生きる道を見つけていきます。
ハルさんがいつも座っていた席は、フラットな席ではなく、少し高い位置にある印象。パリ独特の少し狭い通路の先にある席。
本当はカウンターのようなイメージもあったのだけれど、お話の途中でムギさんがハルさんの向かいの席へ座るシーンがあったのでボックス席にしました。
今回のスケールは1/50。ほかの席は、ハルさんの席を目立たせるため、テーブルとナプキンのみで簡素化しています。
伝わるエール
- どんなにつらいことがあったって、一生懸命頑張っていれば誰かが見ていてくれる。
- 人と同じではなく、ユニークであれ。
ほかにも、マハさんからの色々なエールを感じられる物語。
ミステリーや推理小説ではないジャンルで久々ドキドキしたお話でした。ぜひご一読あれ。
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