蜜蜂と遠雷のスピンオフ小説。2019年に発売されました。
綿貫先生・ナサニエル&三枝子・菱沼忠明・マサル・奏・ホフマン先生を描いた6つの短編から成り立っています。
短編だけれど、どれもドラマティックで感動が蘇る。
蜜蜂と遠雷を読了した人にはぜひ読んで欲しい小説です。
読めないタイトルと意味
まず6つの短編のタイトルを。
- 祝祭と掃苔
- 獅子と芍薬
- 袈裟と鞦韆
- 竪琴と葦笛
- 鈴蘭と階段
- 伝説と予感
難しい漢字がずらりと並びます。
でも、漢字がわかればそのタイトルに納得。本当に恩田先生には頭が下がります。
- 掃苔・・・お墓の苔をきれいに取り去ることを意味します。すなわちお墓参り。1話目では綿貫先生のお墓参りに行きます。
- 芍薬・・・言わずと知れたきれいなお花。美人の代名詞で三枝子のこと。獅子はナサニエルですね。
- 鞦韆・・・しゅうせんと読みます。ブランコのこと。お葬式帰りにブランコに乗るシーンあり。
- 葦笛・・・葦(あし)の葉を巻いて作った笛のこと。竪琴と葦笛は神話のアポロンとマルシュアスの音楽合戦を匂わせているのかも。
袈裟と鞦韆
作曲家・菱沼忠明の名前が出て来た時は、正直「この人誰だっけ?」と思ってしまった…。でも読み進めていくうちに、あ―この人!って理解出来ました。コンクールの課題曲を書いた人。
こんなに深い意味がこもった曲だったなんて。思わず涙が出ました。
短編で泣けたのは初めてかも。本当はこのお話が一番心に残ったのだけれど、ミニチュアにすることは難しく断念。
伝説と予感
最後に登場するホフマン先生のお話。蜜蜂と遠雷ではホフマン先生は既に他界されていたので、動いているホフマン先生に少し感動。
光が差し込むロビーでの風間塵との出会い。読んでいると自然にその風景が眼裏に浮かんで来ます。心にも光が差し込みました。まさにこれからの未来に期待出来る予感。
鈴蘭と階段
コンクール中、ずっと亜夜をサポートしていた奏のお話。【鈴蘭と階段】と【祝祭と掃苔】は、どちらもコンクールの後のお話です。(ほか4編は昔のお話。)
今回は、一番今後に期待出来る予感のするこのお話から、印象的な鈴蘭の鉢植えを作りました。
奏の家の階段下の玄関に置かれていた鉢植えです。
少し作成工程をご紹介。
パーツを1つ1つ作って組み立てていきます。
このお話の中で、奏は運命的な出会いをします。しかも、ほかの仲間にもそれがわかる。
人生には出会いがあるんですよね。本当に。それは人だけとは限らない。本物の出会いは、とんとん拍子に事が進む。しかもあっという間に。偶然ではなく必然なのです。
私の人生の中でも何度かありました。
もう人生半分過ぎたけれど、これからもまだあるかな。。。
未来への期待が持てるお話。これも必然の出会いです。
蜜蜂と遠雷はこちら。
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