第46回産経児童出版文化賞を受賞した作品。2000年には実写映画化、2010年にはアニメ映画化されています。
悩める中高生の指南書となる一冊。かな。読む人の立場によって感想が変わる作品。すんなりとお話に入っていけたけど、親の立場として読むと、少しもやもやが残りました。
あらすじ
主人公は、前世で罪を犯し、命を落としてしまった魂。性別は男。しかしある時、抽選に当たり人生に再挑戦出来る権利を得る。その後、自殺した中学生の身体に入り込み、一定期間ホームステイをしながら修行をするというお話。
お話の流れはそれほど複雑ではなく、簡単に予想出来ました。NHKで放映されていたドラマ【閻魔堂沙羅の推理奇譚】と少し似ている。でも、多分このお話は流れが重要なのではなく、中高生の思春期の変化や葛藤、人との付き合いなど細かな点が重要なのではないかな。
もやもやした点
人との関わりがどれだけ大切か知ることが出来る一冊。だから、悩める中高生にはおすすめ。だけど、親の立場ではどうだろう。全ての親が正しくなければいけない。というわけではないけれど、少なくとも受験生が2人もいる家庭内で習い事を一番に考えている母親ってのはどうなんだろうか。
そりゃ、母親だからって家族のことばかり考えなくちゃいけないわけじゃない。家族皆で受験のことばかり考えていたら気が滅入っちゃうし、子供のことばかりだと過保護にもなっちゃう。でも、受験のわずかな時間だけでも子供中心に考えてあげてもよいのでは?・・・と読了後、少しもやもやしました。
結局のところ、主人公の本人はすっきりとして、めでたしめでたしでお話は終わります。
青の絵とふりふりの白い傘
今回心に残ったシーンは、美術室にあった真の絵。
その青色が、ひろかには空に見えて、唱子には海に見える。真は明るい海として描いたのだけれど、人によって見え方が違う。
いろんな見え方の人がいて、その人たちに支えられて生きていく。現代の子は、きちんと理解出来るのかな。少なくとも中学生だった頃の私は理解していなかったと思う。
美術室を作るにあたって、イーゼルも作りました。実際に自作される方もいらっしゃるんですね。すごい!
大きさもキャンバスに合わせて色々ある。勉強になりました。
学校の美術室も色々と調べました。
たくさんのキャンバスとイーゼルが積み重なって立て掛けられていたり、スケッチ用の彫刻が並んでいたり、どの学校の美術室も所狭しと美術用品が並んでいる。。
この美術室もたくさん小物を作ろうかと思ったけれど、やっぱり主役は【青の絵】。
雑踏に埋もれてしまいそうだったので、すっきりとした美術室にぽつんと配置してみました。
ちなみに、何を作るかで最後まで青い絵と悩んだのがプラプラのふりふりの白い傘。フリルの付いた傘、作ってみたかったんだけど、本の印象から少し離れていたので却下しました。
時間がある時に個人的に作ってみたいです。
本当に伝えたいこと。
この本は、親の部分を考えなければ、大人にも指南書になるかも。人の魂はホームステイをして生きているという点。魂が下界で体を借りて数十年のホームステイをし、天上界に戻って来る。ホームステイにルールはなく、ステイ先で好きに過ごせばよい。自分の人生なんだからと自分を縛らずに、自由に動く。この作品は、その感覚で日々を過ごせばもっと楽に生きられるのでは?と提言しています。
でも、自由過ぎても生きにくく感じることはあるので、ね。
ストレスを感じない程度に頑張ろうっと。自然体でね。
コメント