スコシ・ナントカ・・・凍りのくじら/辻村深月

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昔購入したもののまだ読んでいない電子書籍の中から、特に何も考えずにタイトルの『くじら』だけでこちらをチョイス。

辻村さんがドラえもんのファンということは何かの記事で読んだことがあったけれど、何の知識もないまま読み進めるとドラえもんの道具がちりばめられたお話だったので少し驚きました。作品にまで及んでいるとは。

実は、辻村作品を読んだのは初めて。複雑な家庭環境や様々な愛情、ラストの衝撃的なシーンなど、ドラマチックな作品で、思いのほか号泣してしまいました。。。

SF=少し不思議な物語

藤子・F・不二雄先生いわく、SFはサイエンスフィクションではなく、少し(S)不思議(F)な物語の頭文字のSFなのだそう。へぇーと妙に納得して、思ったよりもすんなりと物語に入っていけた。。。けれど、その後の前半部分はとても読みにくかったです。。この本は、もしかしたら10代、20代がターゲットの本ではないか?このまま読み進めて何か心に残るだろうか?と疑心暗鬼になり、思わずネットでレビューを確認したほど。

でも、後半はもう一気読み。鼻をかむのに時間が掛かるくらいでそれがなければもう少し早く読み終わっていたかも(笑)そのくらい、前半と後半では盛り上がり方が違うお話でした。

読み終えて、心に残ったもの・2つ

書斎とお菓子。

書斎は、主人公の理帆子の父の部屋。カメラマンだった父がいなくなってから時が止まっているので、ちょっとレトロな雰囲気。父が大好きだったドラえもんの漫画が全巻、棚にそろっている。

お菓子は、理帆子の元カレのプレゼント。お菓子で壊れていく様を表現しているところが印象的。

最後がよい終わり方だったから、しみじみと思い出を振り返ることが出来る古い書斎を作ってみたかったのだけれど、やっぱり物語中盤からにじみ出る狂気が頭から離れず、大量のお菓子を作ることにしました。いつものようにアンティーク調にミニチュア制作していくといい感じに出来上がるイメージがあったし、最後に残った印象でもあったので作ろうかな?と思ったのだけれど、また次の機会に作ることにします。

元カレのあだ名

主人公の理帆子は、藤子不二雄先生のSFの解釈『少し・不思議』が気に入っていて、出会う人に『スコシ・ナントカ』とあだ名を付ける遊びをしています。理帆子本人は『少し・不在』。ほかにも『少し・不幸』『少し・フラット』『少し・不完全』『少し・不足』などと身近な人を表現している。

その中で一番強烈な印象が理帆子の元カレに付いていた『少し・腐敗』。その元カレが理帆子にプレゼントしたのが大量のお菓子。その流れで彼が少しずつ壊れていくのがわかります。

スロットの景品の駄菓子を紙袋に詰めてプレゼントする。それだけでも十分狂気。駄菓子はおしゃれなパッケージの輸入菓子とのことで、有名なキャンディなどを作りました。もちろん、パッケージも自分で作りましたよ♪実際のお菓子を真似て作ってみました。

ちなみに、小説の中ではその元カレがどうなったのかはっきりとは書かれていません。想像出来る結末はいくつかあるけれど。個人の想像にお任せってことですね。私の希望としては・・・。

あぁ、詳しく書けないのがもどかしい。。興味を持った方はぜひ一読を★

なお、電車の中など公共の場で読む時は涙腺にお気を付けくださいませ。

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